【登壇報告】東京都「地域課題解決イノベーション創出プロジェクト」ピッチイベントに選出・登壇しました

AIドローンによるクマ対策と、地域の意思決定支援を提案

2026年7月29日、合同会社BigFrameは、東京都がTokyo Innovation Baseで開催した「地域課題解決イノベーション創出プロジェクト」のピッチイベントに、選出事業者として登壇しました。

本プロジェクトは、秋田県・山形県・新潟県・東京都が抱える地域課題に対し、技術やサービスを持つ事業者と行政の現場職員が対話し、協働による解決策の形成を目指すものです。

当日は「豪雪地域の雪害防止」「クマなどによる人身被害等の防止」「持続可能で生産性の高い農業」の3テーマについて、選出された事業者が提案を行いました。BigFrameは「クマなどによる人身被害等の防止について」のテーマで選出された6社の一社として登壇しました。

BigFrameが提案したこと

今回、当社は、サーマルカメラを搭載した産業用ドローンと機上AIを組み合わせ、クマ等の野生動物を上空から探索し、検知した位置・時刻・画像を地図上に整理する仕組みを提案しました。

ピッチでは、開発中の検知画面や飛行ルートも示し、構想だけではなく、現場実装を前提に技術開発を進めていることを説明しました。

ただし、私たちが目指しているのは、単に「クマを見つける」ことではありません。

目撃情報があった後、周辺に個体がとどまっている可能性はあるのか、どちらへ移動した可能性があるのか、生活道路、観光施設、登山道、農地などの人の導線に接近しているのかを追加観測し、自治体や施設管理者が次の行動を判断するための材料に変えることを重視しています。

検知情報を位置情報付きで共有し、必要に応じて追加巡回、立入制限、注意喚起、関係機関への通報などにつなげる。一方で、AIによる検知はあくまで一次判定とし、最終的な対応判断は自治体、施設管理者、警察・消防、猟友会等の関係者が行う。この役割分担を含めた運用設計までが、当社の提案です。

また、飛行時にクマを確認できなかった場合も、それを「安全の保証」とは扱いません。観測した日時、範囲、天候、飛行条件等とセットにした「観測条件付きの非検知情報」として記録します。

野生動物は移動し、植生や地形による見落としもあり得るため、ドローンを万能な装置として扱うのではなく、人による巡回、固定カメラ、住民からの情報、専門家の知見と組み合わせることが重要だと考えています。

現場からの対話から得た重要な気づき

ピッチと質疑を通じて、地域によっては、長年の目撃情報、痕跡、捕獲実績、猟友会や住民の知見により、「クマがどこに出やすいか」「どの谷筋や河川沿いを移動しやすいか」は、すでに相当程度把握されているという現場の指摘もありました。

この指摘は、当社にとって非常に重要なものでした。

地域の方々が蓄積してきた知識を、外部の技術が置き換える必要はありません。むしろ、その地域知を起点として飛行範囲や重点確認地点を設計し、「今、どうなっているのか」を観測データで補強することに、ドローンとAIの役割があります。

「どこに出るかを教える」のではなく、「既に分かっている出没傾向を、直近の観測によって確認・更新し、具体的な行動判断につなげる」。

今回の対話を通じ、当社が提供すべき価値を、より明確にすることができました。

受賞には至りませんでしたが、次につながる登壇となりました

今回は受賞事業者への選出には至りませんでした。しかし、各地域の行政担当者、他の登壇企業、審査員の皆様と意見を交わし、技術の新しさだけではなく、既存の対応体制にどのように組み込み、誰がどの情報を使って、どのような判断を行うのかまで設計することの重要性を、改めて確認しました。

また、同じ「クマ対策」という課題に対しても、住民への情報提供、集落単位での合意形成、監視、検知、追い払い、捕獲、環境整備など、さまざまなアプローチがあることを学びました。

単独の技術ですべてを解決するのではなく、地域ごとに必要な手段を組み合わせることが不可欠です。

BigFrameは今後も、ドローン、AI画像解析、山林・狩猟の現場知を組み合わせ、「検知して終わり」ではなく、現場の意思決定を支援する仕組みの開発と実証を進めてまいります。

自治体、森林・農業関係者、観光事業者、地域住民、猟友会などの皆様との対話を重ねながら、実際に地域で使われ、継続できる野生動物対策の構築を目指します。

本プロジェクトを企画・運営された東京都および関係者の皆様、対話の機会をいただいた各自治体の皆様、審査員・登壇企業・ご来場の皆様に、心より御礼申し上げます。

関連情報:東京都「地域課題解決イノベーション創出プロジェクト」公式ページ